当院が大切にしている「医療鍼灸」について、詳しくご紹介いたします。
鍼灸には大きく分けて3つの考え方(アプローチ)が存在します。
鍼灸の3つの考え方(アプローチ)
① 東洋医学的(古典的)鍼灸
長い歴史の中で培われてきた理論をもとに、「気・血・水」や経絡のバランスを整えることを目的とした施術です。
いわゆる“ツボ(経穴)”を使い、全身の調整を行うのが特徴です。
現在の日本の鍼灸は、この古典的な考え方をベースに日本人向けに発展したものが多く、比較的やさしい刺激で行われることが多いです。
② 中医学的鍼灸
中国発祥の伝統医学に基づく鍼灸で、古典理論をより体系的に用いたものです。
弁証論治(体質や状態を分類してアプローチする考え方)を重視し、比較的しっかりとした刺激量で施術を行うことも特徴の一つです。
③ 現代医学的鍼灸
解剖学・生理学・神経学など、西洋医学の視点をベースにした鍼灸です。
筋肉・関節・神経など、身体の構造や機能に対して直接アプローチします。
論文やエビデンスに基づいた施術が行われており、海外ではこの方法が主流となっています。
また、疾患別に研究が進んでいるため、症状やお身体の状態に応じて、現代医学の知見に基づいた方針で施術が可能とされています。
医療鍼灸の特徴と必要とされる背景
この中で「医療鍼灸」とは、主に③の「現代医学的鍼灸」をベースにしながら、医師や他の医療職(理学療法士など)と連携可能な形で行う鍼灸を指します。
具体的な特徴としては、
- 医学的根拠(エビデンス)に基づいた施術を行う
- 解剖学的評価や検査をもとに施術ポイントを決定する
- 疾患ごとのリスク管理(レッドフラッグの判断など)を重視する
- 医師と情報共有が可能な共通言語(現代医学)で説明・連携できる
といった点が挙げられます。
また、このような「医療鍼灸」が求められている背景として、
- 現代医療だけでは対処が難しい症状(慢性痛・自律神経症状など)が増えている
- 高齢化に伴い、複数の症状が重なり、より複雑な状態の患者様が増えている
- 薬に頼りすぎないケアの選択肢が求められている
- 医師単独では対応が難しく、チーム医療(多職種連携)の重要性が高まっている
といった社会的な流れがあります。
さらに従来の鍼灸(特に古典的鍼灸)は、流派ごとに理論や施術方法が大きく異なります。
そのため、評価基準や再現性の面で現代医学との整合性をとることが難しく、医療との連携や制度上の整備(保険適用など)が進みにくい背景がありました。
そのような中で、近年では大学病院(例:東京大学医学部附属病院の鍼灸部門など)を中心に、鍼灸を現代医学と連携できる形に整理・体系化する動きが進んでいます。
当院の取り組みと施術方針
私が修了した「医鍼連携研修」は、このような背景を踏まえ、「現代医療と連携できる鍼灸師の育成」を目的とした研修です。
研修では、
- 医師による講義(現代医学的な診断・病態理解・リスク管理)
- 大学病院で実際に鍼灸を行っている講師による実技・臨床指導
を受け、現代医学的鍼灸を中心に学んでいます。
また同時に、
- 中医学(中国医学的アプローチ)
- 経絡治療(古典鍼灸)
についてもカリキュラムに含まれており、各アプローチの違いや特性を理解したうえで臨床に活かしています。
そのため当院では、
- 東洋医学的な全身調整(体質・自律神経・内臓の働き)
- 現代医学的な局所アプローチ(筋肉・神経・関節)
の両方を組み合わせた施術を行っているのが特徴です。
単に「ツボに鍼をする」というだけでなく、医学的な評価と東洋医学的な視点の両面から状態を判断し、施術内容を組み立てています。
当院では、現代医学の知見(解剖・生理・エビデンス)をベースに、医療連携を前提として行う鍼灸鍼灸を行っています。

